【レースレポート】第15回Mt.富士ヒルクライム・第14回 JBCF 富士山ヒルクライム Fクラスタ 廣瀬選手

【レースレポート】第15回Mt.富士ヒルクライム・第14回 JBCF 富士山ヒルクライム Fクラスタ 廣瀬選手

二週にわたって富士山のヒルクライムレースに出走いたしました、Pedalist実業団Fクラスタで走る廣瀬選手よりレースレポートが届きましたのでご紹介いたします。


今年はまさかの富士山2連戦、「スバル」と「あざみ」を登ってきました。

■レース名:6/10 第15回Mt.富士ヒルクライム

■女子年代別1位 1:17:11.22

■コースプロフィール 富士スバルライン24km、標高差1255m、平均勾配5.2%、最大7.8%

一万人もの参加者が世界遺産である富士山五合目を目指す日本最大のヒルクライムレースですが、一週間前から雨予報。当日朝4時過ぎに練習仲間と合流すると、すでに小雨がパラパラ…。とはいえここまで来たら土砂降りにでもならない限り走ると覚悟を決めていたので、アップなしで宿泊先から練習仲間とスタート地点に向かう。この時何気なくダンシングをしたところ、変な力の抜け感みたいなものが無くダイレクトに伝わるのを感じた。前日に急遽導入したナカガワのエンドワッシャーの効果に心躍る。

使用機材

フレーム     RIDLEY NOAH SL
ホイール     CORIMA S+
タイヤ        Vittoria CORSA SPEED
ステム        DEDA ZERO100(80mm)
コンポーネント    SHIMANO ULTEGRA 6800(ブレーキレバーのみDURA ACE 9100)
サドル        ASTVTE SKY LINE VT
サイクルコンピュータ、パワーメーター    Pioneer SGX-CA500
ギア比        50/34   11-28T(クランク長165mm)

※ホイールは画像と異なります

スタート地点では雨は止んでいたものの、ものすごい霧。自分が並ぶ第5ウェーブの集合場所からスタートゲートがぎりぎり見えるくらいの視程。気温もだいぶ低く、半袖短パンだと少し冷える感じ(隣のひとはガタガタと震えていたが)。

1時間弱待っていよいよスタート。9割以上男性のウェーブなのでそこそこ大きなパックができるのかと思いきや結構ばらけている。脚が合わなければひとりで淡々と走る覚悟は出来ていたので特に気にせず。しかしこの後大失態!計測開始地点を見逃しサイコンのラップボタンを押し損ねる…。遅れて押すことも考えたが、このままスタートゲートからのタイム計測で、それが去年のタイムより早ければ間違いなく自己ベスト更新なので、そのまま行くことに。トップチューブに貼った1km毎のタイム表も参考程度に。
そもそも料金所を過ぎてリアルスタートになった時点でいまいち調子が上がらない、トルクを掛けると脚がすぐに終わってしまいそうな感触だったので、ケイデンス高めで回すことに。これまでの経験上、こういう時は自分の体の感覚で走った方が結果的に良い傾向にあったので、予定していた計画に捉われずいくことに。

周りの状況に流されることもなく、スバルラインで一番きついとされる1,2合目を通過。タイムも予定していたところから大きくは外れていない。作戦変更は功を奏していると確信、そのまま勾配の緩い区間でもケイデンスは高めで脚を使わずに行く。

3合目を過ぎたあたりか、この日初めて女性に抜かれる。小麦色の肌で長い三つ編みを揺らしながら力強いダンシングで過ぎ去る姿は強さを滲み出している。ゼッケンをみると同じ5000番台。おそらく力は拮抗していると予想、5メートルほど先を行く彼女の様子をしばらく見る。勾配の緩いところでは自分が抜き、傾斜が急になると彼女がダンシングでグイっと私を抜く。彼女の緩急の大きい走り方なら上手くすれば千切れると読み、3回目くらいの勾配の緩いところでペースアップし作戦成功、またマイペースに先を急ぐ。
このあと、背中の大きな男性の後ろに付かせてもらい、稼ぎどころの平坦区間へ。他にも数名男性がいたのだが誰一人として大してペースが上がらない。どうやら既に脚が終わっている模様…。仕方ない、フロントをアウターに入れてひとりもがく。後ろのギアも限界まで上げ40km/h超え。ちょうどこの時、すでにゴールして下山してくる練習仲間からの「がんばれ!」の声で元気をもらう。正直この時点で出し尽くした感満載だったのだが、ゴール手前の最後の登り区間は半ば叫びながら、前を行くひとに避けてもらって(笑)ゴール。

※レースログ

シルバーリングには一歩及ばない1:17:11でしたが、手の届くところまで来たのと、去年から6分縮められたので、シルバー目指して再度頑張ってみようと思う(来年は出ないつもりでいたのだが)。


一週間後の6月17日、第14回JBCF富士山ヒルクライム。

■レース名:第14回JBCF富士山ヒルクライム

■Fクラスタ  1:03:32 2位

■コースプロフィール ふじあざみライン11.4km、標高差1200m、平均勾配10.5%、最大22% 

「富士ヒル」の疲れが今ひとつ抜けないまま(歳なので…)、また富士山。

正直スバルラインを登った後、また来週も登るのか…とげんなりしたことは否定しない。

実はあざみラインを今まで一度も登ったことが無く、レイアウトも何も分からないことが最大の不安要素だった。そう、ぶっつけ本番。

イメージとしては、ヤビツ峠の一番きつい区間「蓑毛」がずーっと続く感じ…最大22%とかあるからそれ以上だ。昨年猛暑の中登った和田峠か?いや、その倍以上の距離だ。

イメージが湧かないどころか、むしろ登れる気がしなかった。それならば順位ではなく外的要因を含まない目標を掲げようと思い色々調べてみた結果、1時間切れればそこそこ好タイムみたいなことがネットにあったので、それを目標にする。

当日朝6時、前日入りしていた浅野選手と現地で合流、各々準備を進める。当日入りで時間的余裕はほとんどないので、アップは無しと決めローラーすら持って行かず。応援も兼ねてわざわざ駆けつけてくれた敏腕マネージャー(!)と雑談しながら準備を進める。

チームメイトのE3浅野選手と

スタートはE1クラスタの5分後。Fクラスタはエントリー5人のみなので横並びに一列。一番右端には前回大会並びに1週間前の富士ヒル選抜クラスの覇者、望月選手(フィッツ)の姿が。

MOTOの先導でスタート、クリート嵌らずもたついてる間に3名がなかなかのペースで飛び出していく。ヒルクライムなのにとのんびり考えながらすぐに追いつく。なんとなく望月選手を先頭に森本選手(TEAM all out)、私の順で縦に並んでそのままトレインが出来そうな雰囲気が一瞬したのだが、森本選手が息を切らして下がっていく。その間に望月選手は一歩先へ飛び出していく。ヒルクライムだし、彼女のペースにはついていけないことは事前にわかっていたので、あくまでマイペース。それでもしばらくは一定の間隔でついていた。

1kmを過ぎたあたりから霧が濃くなり、望月選手の背中も見えず一人旅。と思ったらE1最後尾が目の前に現れるという視界は3mほどしかない真っ白な世界。

5kmを過ぎたあたりでMOTOに、先頭を行く望月選手との差が1分30秒であることを告げられる。残り半分のレイアウトもわからない状態のしかも激坂で1分30秒詰められる気は微塵もしなかったが、タイム差を教えてもらえるところはホビーレースとは違う特別なものを感じた。

「馬返し」という難所もわからないまま淡々と登り、8km地点で再びMOTOに先頭と3分差であると告げられげんなり…。勾配がきつくなっているにも関わらず差が開いている。姿が見えないのにまざまざと力の差を見せつけられた。思わず「3分差か…」と呟いた直後、左カーブを曲がった先の茂みの中で大きなものが動く。その方向に視線を向けるとなんと、大きな鹿が二頭こちらに向かって走ってくる。無意識にラインをコーナーのアウト側へもっていくと鹿も少し向きを変えて下の方へ、私の2,3m後方の道路へ飛び出していく。

鹿が目の前に飛び出してきた後続の選手は慌てて止まり、飛び出した鹿もビックリしてすごい勢いで滑って転ぶ。これがもし下りだったらと肝を冷やす。

そのあとはひたすら終わりかけている脚をどうにか回し、突然視界が開け青空が見えたところで目の前がゴールであると確信、見知らぬひとからも声援を頂き最後のひと踏みをしゴール、振り返ると真っ青な空と雲海が広がっていた。

ゴール後下山準備をしていると、後続でゴールした森本選手がスタート直後の中切れについてわざわざ謝罪にきてくれた。全く気にしていなかったので驚いたのと同時に、レースに対してとても真摯に向き合っているのが伝わってきて、こういう若い選手に頑張ってほしいなと思った。

※レースログ

結果的にはトップに5分も差をつけられてしまい、2位とはいえ不甲斐ない結果でしたが、皆様からの多くの激励により無事完走することができました。次はまたさらに良きご報告ができるよう努力して参ります。たくさんの応援ありがとうございました。

Text 廣瀬選手

Pedalist
■お問合わせ
TEL 045-761-0012
mail pedalist@miracolare.co.jp
■営業時間
平日13時~21時
土日9時30分~18時30分
■定休日
火曜